† Lの呪縛 †
オリヴィアは突然後ろから誰かに抱きつかれ、身体を強張らせた。



「オリヴィア! もう身体の具合はいいの!?」



抱きついてきた正体がキティだと分かり、オリヴィアはホッと胸を撫で下ろした。


キティと向かい合うと、心配そうに顔を覗き込まれ戸惑った。



「もう元気だよ。 どうして具合が悪かった事を知ってるの?」



体調を崩していた事は家族以外知らない筈なのに……と、不思議で堪らなかった。


キティはふふっと笑うと、ノエルの袖を引っ張った。



「街で偶然ノエルと会って、その時にオリヴィアが体調を崩してるって聞いたの。 その時のノエルったら、大量の果物が入ったパンパンの紙袋を抱えてね……」

「キティ!! 余計な事は言わなくていいよ!!」



キティの言葉を遮ったノエルの顔は真っ赤だった。


オリヴィアの視線を受け止めていられず、ノエルはプイッと顔を逸らした。



「たくさんの果物……ノエルお兄様がわざわざ買いに行ってくれたの?」

「……辛そうなオリヴィアを見てたら、ジッとしていられなかったんだよ。 笑いたければ笑えばいい」



オリヴィアはノエルの腕に触れ、顔を見上げた。



「ノエルお兄様、ありがとう」



嬉しそうな顔をしてお礼を言われ、ノエルは今すぐにでもオリヴィアを抱きしめたい衝動に駆られた。





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