† Lの呪縛 †
オリヴィアは皆から視線を外さないまま、小さく唇を動かした。



「うん……あの時はありがとう」

「…………」



二人の間に沈黙が流れたが、周りは二人の事など御構い無しに騒がしかった。



「アレンはレディ・オリヴィアと面識があると言っていたな」



二人の沈黙を破る破る様にエドガーが声を掛けてきた。



「ところで、シドは何処にいる?」

「さぁ? 兄様はパーティー好きじゃないから、もう部屋にでも戻ってるんじゃない?」

「全く、あいつという奴は……」



エドガー以上に妻であるヴァネッサの方が頭を抱えていた。


わざわざパーティーを催しているのは、家の為というよりもシドの為だった。


早く何処かの令嬢と婚約でもしてもらわなければ、安心出来ないからだ。



「今日もシドには会えそうにないな」

「せっかく来てもらったというのに、本当にすまないな」



苦笑いを浮かべてダグラスとクレアに謝るエドガー。


エドガーは小さくため息を漏らした。



「シドはアレンのお兄さんで、僕もあまり会った事はないんだ。 会っても挨拶を交わすくらいだしね」



ノエルは小さな声でオリヴィアに話をした。


公の場にあまり姿を現さないシドだが、女性たちからは絶大な人気を誇っていた。


それは芸術とも言える美しい容姿をしているからだ。





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