† Lの呪縛 †
ノエルはシドがいない事にホッとしていた。


今は男に興味を示さないオリヴィアだが、シドの美しさに魅了されないとも限らない。


シドの弟であるアレンも綺麗な顔をしているが、キティという婚約者がいる為、アレンの存在は然程気にしてはいない。


暫く皆で談笑していると、音楽が鳴り始めた。


ダンスホールの隅に設けられたオーケストラが、楽器を奏でている。


オリヴィアは初めて見る光景に瞳を輝かせた。


男女ひと組となり、各々が優雅にダンスを始める。


オリヴィアにとってそれはまるで夢の中の世界に居る様な光景だった。


ワインやシャンパンを飲み、食事を口にしながら談笑していた者たちがどよめき始める。


女性たちは頬を赤く染め、うっとりとした表情を浮かべている。


オリヴィアは何事かと首を傾げた。


女性たちの視線が、自分の後ろに集まっている事に気付き、オリヴィアは後ろに振り返った。


すると目の前にはすらっと背が高く、彫刻の様に端正な顔立ちをした男性が立っていた。


オリヴィアは思わず一歩後ずさる。





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