† Lの呪縛 †
ノエルが部屋を出て行き、静かにドアが閉まった。


夫妻は頭を枕に沈め、布団を引っ張り上げ顔を見合わせた。



「さぁ、もう寝るとしよう」

「ふふっ、そうね。 おやすみ」

「あぁ、おやすみ」



クレアの心は少し軽くなっていた。


バカな事を考えてどうかしていた、やはりあの時のノエルは妹を心配しての事だったと思った。


ダグラスはクレアの頬に手を添え、額に唇を落とすと、スタンドライトの明かりを消した。


その頃ノエルは、手元の灯りを頼りに薄暗い廊下を歩いていた。


そしてとある部屋のドアの前で足を止めた。


ドアノブに手を掛けノックをせずに、慎重にドアを開け中へ入ると、可愛らしい寝息が聞こえる。


忍び足でベッドへ近付くと、オリヴィアが気持ち良さそうに眠っていた。


微かな灯りがオリヴィアの顔を照らし、長い睫毛が影を作る。


ノエルは慎重にベッドに腰掛け、オリヴィアの艶やかなブロンドの髪の毛をひと束掬い上げた。



「誰にも渡さない。 オリヴィア、君は僕のものだ……愛しくて堪らないよ」



小さな呟きは、静寂な部屋に直ぐに消えて行った。


ノエルは微笑みオリヴィアの髪の毛にそっと口付けた。





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