† Lの呪縛 †
ベルが死に、シャロンは暫くふさぎこんで居た。


だが、そんな過去があったとは思えないほど今は逞しく元気にしている。


そしてどことなくふとした表情がベルに似ている。


シャロンの表情がベルの顔と重なる度、ネヴィルはベルとの思い出を思い出している。


ネヴィルとベルは普通の人間には到底理解の出来ない関係だった。


だが、その関係があったからこそシャロンとこうして過ごしてこれたのだと、ネヴィルは少なからず感謝をしていた。



「もしも、何かあれば直ぐに私の名を呼べ」

「ありがとう」



シャロンの頬を撫でる手は優しい。


ネヴィルは静かに微笑み唇を落とした。


触れ合う二つの唇。


これが今生の別になるかもしれない。


互いの唇に互いの温もりを残し、ネヴィルはそのまま姿を消した。


温もりを逃がさぬ様、指先で唇に触れ、シャロンは暫くの間余韻に浸っていた。


空高くからシャロンの住む家を見下ろすネヴィルもまた同じ。


指先で唇に触れ、シャロンの温もりを逃がすまいとしていた。






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