† Lの呪縛 †
シャロンの声に導かれ、ネヴィルが辿り着いた場所は血生臭く、幾つもの死体が転がっていた。


灯りもなく暗い部屋。


微かに聞こえる息遣い。



「ネヴィル……?」



ネヴィルはハッとしてシャロンに駆け寄った。


鉄の鎖で腕を縛られ宙吊りにされているシャロンは血だらけで、全身濡れている。


足も鉄の鎖で自由を奪われ、足首に擦り傷ができ、血が滲んでいる。


何故こんなことになっているのか、ネヴィルには検討もつかなかった。



「シャロン! これは一体どういう事だ!?」

「そんな大きな声を出さないで……気付かれてしまうわ」

「そうなれば私が始末してやる」



ネヴィルの瞳は血色に染まり、だが表情は氷の様に冷ややかだ。


内心今にも腸が煮えくり返ってしまいそうだった。


幸せに暮らしていると思っていたシャロンが、何故だか傷だらけで血で汚れている。


これ程までに怒りを覚えたのは初めての事だった。



「ダメよ……お願いだから、ね? 私なら大丈夫よ。 見た目よりも痛みはないの」



曇りのないシャロンの笑顔。


だがそれは弱々しく、命の灯火の大きさを測るには十分だった。





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