† Lの呪縛 †
ネヴィルはシャロンの頬をしなやかな手で包み込み、額を重ねた。


悪魔は人間を惑わす為、美しく妖艶な姿をしている。


愛を知ったネヴィルは今までのどんな時よりも美しい。


互いに惑わし、求め合い、いつの間にか心は一つになっていた。



「オリヴィアとキースを一緒に眠らせて、そして二人を誰にも見つからない場所へ……」

「眠らせる?」

「捕まってこんな拷問を受けることになるくらいなら、苦しみのない安らかな死をと思ったわ。 でも、貴方にオリヴィアを殺させることなんて出来ない」

「何故?」

「あの子の顔を見れば分かるわ。 二人を眠らせて、二人が望む時に目覚め共に幸せに暮らしてくれれば私はそれでいい」

「……分かった」



口付けを交わし、見つめ合う二人。


日が登るまで後数時間。


次拷問を受けたら、シャロンの命はもたないだろう。


それまでに契約内容を遂行する必要がある。


ネヴィルがシャロンの胸元に唇を落とすと、契約の印が浮かび上がった。



「行ってくる」

「えぇ、行ってらっしゃい」



シャロンが微笑むと、ネヴィルは一瞬のうちにその場から姿を消した。





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