† Lの呪縛 †
シャロンの家に着き、ネヴィルは顔をしかめた。


質素ではあったものの、いつも綺麗に整理整頓されていた部屋が、無残に荒らされていた。


割れた花瓶や窓ガラスは床に散らばり、椅子やテーブルは原型をとどめていない。


壁には刃物で斬りつけた様な傷や殴られた痕の様な凹みがある。



「だ、れだ……」



台所の影から弱々しい声が聞こえてきた。


弱々しいが、殺気が感じられる鋭い声。



「名は?」

「…………」



ネヴィルの質問に答えない青年は、ネヴィルを睨み付ける。


身体中傷だらけで、お腹からは大量に出血している。


_これではそう長くは持たないだろう。_



「シャロンに言われて来た」

「っ……!?」



青年は目を見開き、直ぐ様その表情は苦渋に歪んだ。


力の入った拳は震え、息遣いが荒くなる。



「お前はキースか?」

「あ、ぁ……シャロンおばさ、んは……」

「もう長くはもたないだろう。 お前とオリヴィアを助けて欲しいと頼まれた。 が、お前はもう……」

「そ、だな……っ、俺はもう、助からな、い……オリーを……たすっ、けてくれ……」





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