† Lの呪縛 †
キースは痛みに顔を歪め、更に呼吸が荒くなっていく。


口を開き、必死に言葉を発しようとしている。



「も、りっ、に……っ」

「オリヴィアは森に逃げ込んだのか?」



キースは力なく頷いた。


もう意識は朦朧としている。


視界も段々と奪われ、ネヴィルの姿は殆ど見えていなかった。



「オリヴィアは必ず助ける」



痛みで歪んでいたキースの顔が、ネヴィルの言葉を聞いて安心した表情へ変わった。


微かな笑みを残し、荒々しかった呼吸は止み、床に身を委ねた。


ネヴィルはその場から早々に姿を消し、森へと急いだ。


森の中ではあちらこちらから人の声がしている。


暗闇の中人々は手に持った松明(たいまつ)の灯りを頼りに、必死に何かを探している。


その探し物がオリヴィアである事は、ネヴィルには察しがついていた。


人々のその様子に、ネヴィルは内心ホッとしていた。


まだオリヴィアは捕まっていない。


シャロンとの約束を果たすべく、ネヴィルは広い森の中を全速力で飛び回った。


だが、直ぐに見つけられると思っていたが、意外にも困難を強いられ、ネヴィルの顔には焦りの色が見えていた。





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