† Lの呪縛 †
若い男の胴体が地面に倒れ、首が転がった。


切れた首からは血が溢れ、地面を赤黒く汚していく。


ネヴィルは汚れた手をハンカチーフで拭き、投げ捨てた。



「命が惜しい者は即刻立ち去れ」

「ば、化け物ダァァァァァ〜!!!!!!」



村人たちは悲鳴を上げながら慌てて走り去って行った。


_パチンッ!


ネヴィルが指を鳴らすと、地面に転がっていた胴体と首に火がつき、一瞬で灰と化した。



「もういいぞ」



ネヴィルがオリヴィアに声を掛けるが、一向に動こうとしない。


それもそのはずだ。


オリヴィアは言われた通り目をギュッと閉じ、耳をキツく塞いでいる。


あまりに必死過ぎて、周りの音が聞こえていない。


ネヴィルは腰を下ろすと、オリヴィアの身体をお姫様のように抱き上げた。



「ッッ!?」



突然の事に驚いたオリヴィアはパッと目を開け固まった。


抱き抱えられていると気付くや否や、ジタバタと暴れ始めた。



「お前の足では生きているうちにシャロンに会えない。 だから暫く大人しくしていてくれ」



ネヴィルの言葉にオリヴィアは静かになった。


そしてネヴィルの胸に顔を埋め、肩を震わせた。





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