† Lの呪縛 †
極力人に見つからない様に細心の注意を払った。



「お母さんッッ!!」



鎖に繋がれ意識を失っているシャロンにオリヴィアはしがみついた。


震える手で必死にシャロンの体を揺さぶっている。



「オリ……、ヴィアっ」

「っぉ、かっ、さんッッ」



シャロンは泣きじゃくるオリヴィアに安心させるように微笑んだ。


そしてネヴィルに目をむけると、微笑みながら眉を寄せた。




「勝手な事をして……」

「契約はしたが、契約を果たすまでの時間は私の自由だ」

「……偏屈」



ネヴィルは一瞬目を見開き、すぐ様口元を緩めた。



「ベルにも同じ様な事を言われたよ」



ネヴィルが手を振るうとシャロンの手枷と足枷が壊れた。


自由になったシャロンの体を受け止めたネヴィルは、壁を支えにそっと床に座らせた。


冷たく血で汚れた床。


色んな人間の血が入り混じっている。



「もう、泣かないの」



シャロンは嗚咽を漏らしながら泣くオリヴィアの体に寄り添った。


本当は抱きしめたかったがそうはできなかった。


ずっと手枷に繋がれていた腕。


そして長時間の拷問。


いくつもの要因が重なったシャロンの腕は、骨がボロボロになっていた。





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