† Lの呪縛 †
一度芽生えた羞恥心は中々消えず、オリヴィアはどうしたものかと考えを張り巡らせた。


その間オリヴィアの指先はスカートを握りしめたまま、モジモジと動いている。


本人は気が付いていない様だ。


だがその仕草をクレアとレベッカが見逃す筈もなく、部屋の中が先程よりも大きな笑い声に包まれた。


オリヴィアはビクッと肩を揺らし、恐る恐る顔を上げた。


顔も耳も、首までもが赤くなっている。



「ごめんなさい、オリヴィア。 どうしてそんなに可愛いのかしら」



クレアは目に溜まった涙を拭い、オリヴィアの体を前から抱きしめた。


体を強張らせていると、クレアはそれをほぐす様にオリヴィアの背中を柔らかく叩いた。



「とっても可愛らしくて上品な挨拶だったわ。 もっと自信を持ちなさい」



クレアはオリヴィアから体を離すと、オリヴィアの顔を覗き込み、安心させる様な笑みを浮かべた。



「では、採寸させて頂きますね」

「はい、宜しくお願いします」



レッドフォード家に来てからは、初めての事だらけだったが、仕立て屋を呼び、ドレスを一から作ってもらうのも、初めての事だった。


実母と暮らしていた時は裕福な生活ではなかったし、レッドフォード家に来てからは、極力外部の人と関わらない様にしていた為、ドレスは既存の物を着用していた。


オリヴィアは緊張しながらも、心踊る思いだった。





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