† Lの呪縛 †
暗く広い部屋の中で、オリヴィアはベッドに横になり目を瞑っていた。


だが、中々寝付けず左を向いたり、右を向いたり、仰向けになったりと体制を変えている。


未だ昼間の喜びが抜けずにいた。


仰向けになったオリヴィアはとうとう諦め、目をパチっと開けると天蓋を見つめた。


ーダメ……眠れない。 少し外の空気に触れようかな。ー


オリヴィアは体を起こすと布団を捲り、足を下ろした。


そしてポールハンガーに手を伸ばしストールをとり、体を包み込む様に肩から掛け、裸足のままバルコニーへ向かった。


カーテンに手を掛け、外を見渡すと、そこには知らない男性が、手すりに腰掛け背を壁につけ寄り掛かっていた。


オリヴィアは少し驚いたが、不思議と怖い感じはしなかった。


ガラス張りのドアを開けるが、男性は夜空を見上げたまま見向きもしない。



「貴方……誰?」

「っ……」



オリヴィアの遠慮がちな小さな声に反応した男性は、オリヴィアを見て目を丸くしている。



「あの……」

「あ、あぁ、ごめん、ごめん。 まさか声を掛けられるとは思ってなかったから、驚いちゃったよ」



悪びれた様子もなく、屈託のない笑顔に陽気な口調の男性を、変な人だなと思いながらも、オリヴィアは少しホッとした。





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