† Lの呪縛 †
シドは少女をベッドに押し倒し、頬を撫でた。


少女はシドを見上げているが、視線は彷徨い落ち着かない。


色白の細い腕を伸ばし、指先を震わせている。


シドは少女の手を掴み、自分の頬へ触れさせた。


少女はシドの額、瞼、鼻筋と手を這わせ、指先が唇に触れると動きを止め笑みを零した。



「満足?」



少女は笑顔のまま頷き、手を離した。


シドは少女の首筋へ顔を埋め、唇を這わせた。


素直に反応する少女。


瞳を閉じ快楽に体を震わせ、身を任せている。


今にも漏れそうな声を必死に堪え、下唇を噛み締めた。



「いい子だね」



耳元で囁かれる魅惑的な声。


この声は少女の体をゾクゾクと疼かせ、頭をボーッとさせる。


たとえ体だけの関係であっても、少女は幸せだった。


少女が隠し部屋で過ごすようになって数年が過ぎた。


この部屋で過ごすようになってからは、シド以外の人とは接していない。


シドと会う為にはここにいるしかない。


だから少女は絶対に声を漏らさない。


それがシドとの約束だから。


約束を破ればもう触れてもらえない。


甘い声も言葉も掛けてもらえない。


それは少女にとって、死ぬ事よりも辛く悲しい事だった。





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