† Lの呪縛 †
胸元のリボンが解かれ、少しずつ少女の白く滑らかな肌が露わになっていく。


長年日に当たっていない肌は透き通る様な白さで、血の通わない人形の様だ。


ベッドに流れたブロンドの髪の毛をすくい上げ、シドは愛おしそうに口付けた。


シドは狂おしい程に少女を抱き、少女が気を失うまで抱き続けた。


気が狂う程に少女を抱いても、決して乱暴に扱う事はない。


傷付けてしまわぬ様、壊れてしまわぬ様、優しく触れている。


シドは少女をベッドに寝かせ、布団を掛けた。


そして服を着ると早々に部屋を後にした。


いつも事が終われば直ぐに部屋を出て行ってしまう。


少女と共にベッドの中で眠った事は一度もない。


シドが出て行ってから暫く経ち、少女はゆっくりと目を開けた。


暗闇の中人の気配はなく、もう行ってしまったんだと思い、悲しみに襲われた。


いつも目を覚ますとシドの姿はなく、その度に酷い孤独を感じる。


再び目を閉じ唇に手を当て、涙を流した。


目尻から流れ落ちた雫がどんどん枕を濡らしていく。



「今日も、してくれなかった……」



幾度となく体は重ねてきたのに、唇は一度も重ねたことがない。


体だけを求められる度に少女は思う。


自分は誰かの代わりでしかないのだと。


初めはそれでも良かった……満たされていた。


だが今では体を重ねる度にその事は少女の胸を執拗に苦しめる。


少女は布団を頭から被り蹲ると、声を圧し殺して泣いた。


それでもどうしても嗚咽だけは漏れてしまう。


そして泣き疲れ、再び眠りについた。





< 77 / 260 >

この作品をシェア

pagetop