† Lの呪縛 †
手からノエルの温もりが伝わり、オリヴィアは少しずつ落ち着きを取り戻していった。


そんなオリヴィアの様子に、ダグラスとクレアは安心した。



「オリヴィア、エリオットは今日は挨拶にきただけだ。 検査はエリオットの診療所で行うからね」

「検査……」



覚悟はしていた。


だがその言葉はオリヴィアの不安を煽る。


今まで一度も病気をした事がないオリヴィア。


その為医者にかかった事はない。


もし病気をしていたとしても、医者になど行かなかっただろう。


シャロンにどれだけ怒られ様と、頑なに拒否をしただろう。


それは自分の身体がおかしい事を知っていたから。


自分の身体が人と違う事を、オリヴィアはシャロンには話していなかった。


キースにも。


村人たちから化け物と呼ばれていた為、シャロンもキースもその理由を知っていたかもしれないが、オリヴィアは怖くて確認する事が出来なかった。


もし知らないのであれば、そのままで居て欲しかった。



「オリヴィア」



エリオットに呼ばれ、オリヴィアは俯き考え事をしてしまっていた事に気付いた。


顔を上げると、穏やかな顔をしたエリオットと目が合った。





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