† Lの呪縛 †
ダグラスとはまた違う、穏やかで優しい眼差し。


お医者様というのは、みんなこんなにも温かな雰囲気を持っているのかな?と、オリヴィアは思った。



「明日、ノエルと一緒に診療所に来てくれるかい?」



ノエルは、言葉に詰まるオリヴィアの手をそっと摩り、安心させる様に微笑んだ。


肩から力をぬいたオリヴィア。


みんなが温かく見守っている。



「はい、明日、ノエルお兄様とお邪魔します。 宜しくお願いします」

「こちらこそ宜しく、オリヴィア」



エリオットは目を細め、目尻に深い皺を刻んだ。


笑っていない時でも、その皺はなくなる事はなかった。


普段から人とどう接しているのかは、その皺を見るだけで一目瞭然だ。


ダグラスの弟という事もあり、オリヴィアは緊張していながらも、完全に安心しきっていた。



「では私はそろそろ行くよ」

「なんだ、もう帰るのか?」

「すまない、兄さん。 診療の予定が入っているんだ」

「そうか、なら今度ゆっくりできる時にでも酒でも交わしながら、話をしよう」

「そうだね。 楽しみにしているよ」



男気溢れるダグラスと違い、優男なエリオット。


顔つきや、体型は似ていないが、笑った顔は不思議と似ている二人。


ダグラスとクレアはエリオットを見送る為部屋から出て行き、部屋にはオリヴィアとノエルが残された。


オリヴィアはソファーの背凭れに力なく寄っかかった。



「疲れただろう? お茶にしよう」



ノエルの提案に、オリヴィアは笑って頷いた。





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