† Lの呪縛 †
悪魔は小さくため息を漏らした。


長年人間という生き物を見てきて、重々承知している。


人間がどういう生き物なのかという事を。


人間は強欲で嘘つきで、私利私欲の為ならば躊躇する事なく人を貶める。


だからこそ、男性はオリヴィアをこのままレッドフォード伯爵家に置いたままにする事は出来ないと思った。


いや、思っていた。


ダグラスの言葉によって、そんな悪魔の心に迷いが生じ始めていた。


心の底からオリヴィアの事を、大事に思っていると伝わってくるから。



「では、私にどうしろと?」

「これからオリヴィアは、外界へ足を踏み入れる機会が増えるだろう。 影からあの子を見守ってやってはもらえないだろうか。 危ない気配が近付けば、お前ならば直ぐに察知できるだろう?」

「私はお前の義理の両親を殺した男だか、そんなに信用していいのか? いつでもお前たちを殺す事も、オリヴィアを連れ去る事も出来るのだぞ?」



ダグラスはフッと笑みを零し、口を開いた。






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