† Lの呪縛 †
「フォスター子爵夫妻はオリヴィアを見付けた時点で、ある程度死は覚悟していただろう。 お前のやった事は許し難い事ではあるが、命を掛けてまで守ったオリヴィアが幸せになれば、彼らの想いも浮かばれる」

「お前たち人間の考える事は、未だに理解が出来ない」

「私にもお前たち悪魔の考えなど、幾ら考えようとも理解出来ないだろう。 だが、今一つ分かっている事がある」



悪魔は腰に手を当て、面倒臭そうに首を傾げた。


訝し気な表情が、綺麗な顔に皺を作る。



「お前がオリヴィアの事を心底大切に思っているという事だ。 詳しい事情はまだ分からないが、あの子が悲しむ様な事はしないだろう。 それさえ分かっていれば、今はそれ以上の事は望むまい」



悪魔は更に顔に皺を寄せた。


その様子をダグラスは余裕な笑みを浮かべ見ている。


だが直ぐに笑みは消え、真剣な面持ちへと変わった。



「オリヴィアを狙う組織がいる」

「組織……?」

「“Crimson altar”という組織だ。 奴等は長年に渡って黒ミサを行ってきた。 目的はまだ分からんが、奴等が棺を探しているという情報を掴んだ。 そして見付けた棺の中に、オリヴィアが眠っているのを見てわたしは確信した。 奴等が探している棺はこれで間違いないだろうとね」





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