† Lの呪縛 †
悪魔は腕を組み、難しい顔をした。


昔の事を思い出していた。


オリヴィアがこの世に生を受けてから、これまでの事を。


悪魔はオリヴィアの事を誰よりもよく知っている。


心の中以外は……。



「暫くこのままオリヴィアの事を見守る事にしよう。 だが変な気を起こそうものなら、地獄を味合わせる。 オリヴィアの事を狙う組織も同様だ」

「我々の事はそれでも構わない。 しかしCrimson altarを見つけたら、殺さずに連れてきて欲しい。 奴らを根絶する為に」

「根絶か……お前たちにそれができるというのか?」



ピリピリした雰囲気ではないが、悪魔はダグラスに疑いの眼差しを向けている。


自分よりも弱い人間に何ができるというのか……そう思っているからだ。



「その目で確認するといい。 その上で納得が出来なければ好きにしろ」

「面白い。 ではそうさせてもらうとしよう」



悪魔はふっと笑みを零し、ダグラスに背を向けた。


だがピタリと動きを止め、再び顔を後ろに向けた。



「ネヴィルだ。 なにかあれば名を呼べ」



それだけ言うと、サッと姿を消してしまった。


ダグラスはフラフラっとソファーに腰をおろし、グッタリと頭を抱えた。


混乱している頭の中を整理する為、今後の事を考える為、ダグラスはその日はずっと書斎へ篭っていた。





< 94 / 260 >

この作品をシェア

pagetop