† Lの呪縛 †
エリオットは聴診器を耳にはめ、オリヴィアの胸へ当てた。


洋服の上からではあるが、オリヴィアは恥ずかしさから俯き下唇をギュッと噛み締めた。


手は震え、繋がったノエルの手にもその震えが伝わる。



「息を吸って、息を止めてくれるかな」



オリヴィアは俯いたまま頷き、エリオットに言われた通りにした。


直ぐに終わると自分に言い聞かせながら。


一方ノエルは、エリオットがオリヴィアの胸に触れている事に不快感を覚えつつも、平常心を装った。


今は自分の事よりも、怯えているオリヴィアの事を優先したかったから。



「楽にして大丈夫だよ」



聴診器が胸から離れ、オリヴィアはホッとした様に息を吐いた。


握りしめていた手から力が抜けていく。


ノエルがオリヴィアの頭を撫でた。



「頑張ったね」



小さな子供をあやす様な、甘く優しい声。


オリヴィアはノエルに柔らかな笑みを向けた。





< 96 / 260 >

この作品をシェア

pagetop