† Lの呪縛 †
エリオットは聴診器を首に掛けると、椅子から立ち上がった。


オリヴィアの肩がビクッと跳ねる。


ノエルはオリヴィアの肩を抱き、体を寄せた。


俯くオリヴィアの代わりに、ノエルがエリオットの動きを目で追っている。


部屋にはレコードから優雅な音楽が流れている。


エリオットなりの配慮だろう。


だが、今のオリヴィアにとって、その音楽は耳障りでしかたがなかった。



「これが終わったら今日は帰って大丈夫だよ」



エリオットは小さな箱を持って、再び椅子に腰掛けた。


箱の中には、鋼鉄でできている細い筒上になっている物が入っていた。


その筒状の先をみて、オリヴィアは目を揺るがせた。



「少しちくっとするが、怖がる必要はないよ」



オリヴィアは鋭く尖る針から、視線をそらす事が出来なかった。


首を振り、ノエルの腕にしがみつく。


震えがどんどん増していく。



「エリオット叔父様、それでいったい何をするの?」

「血を少し抜いて調べるんだ」

「それは絶対にしなければならないの?」



酷く怯えるオリヴィアの肩を強く抱きしめるノエル。


検査をするのはオリヴィアの為だと腹をくくっていたが、決心が揺らいでいた。





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