天使の歌
キュティが連れて行かれた場所は、森を抜けた所に立てられていたテントだった。
「……此処は?」
「私達のテントよ。」
桜の言葉に、キュティは唖然とした。
てっきり、人間が沢山 居る、アジトのような所へ連れて行かれるのだと思っていた。
キュティを見て、樹は意地悪な笑みを浮かべる。
「やっぱし、俺等の事 信用してねェだろ。」
「…………。」
樹の言葉に、キュティは黙り込むしか無い。
やっぱり、他者に嘘は、付けなかった。
「……さっき、恩人に騙されて、友人を攫われたので。」
呟くと、桜は黙ってキュティをテントに招き入れ、座るよう、促した。
大人しく座ると、真正面に桜、入り口 付近に樹が座った。
「その攫われた友人って言うのは、セティ君の事ね?」
「知ってるんですか!?」
キュティは驚いて顔を上げる。
「今から きちんと説明するわ。落ち着いて聞いてくれる?」
その言葉に、キュティは こくんと頷いた。