天使の歌
「私達 人間は、異世界の存在を認識していない。これは、知っているわね?」
桜の言葉に、キュティは頷いた。
天界、地界、人界。
その中で、自分達の世界 以外の存在を知らないのは、人間だけだ。
「そう。人間は、天使や悪魔を、お伽話の中でしか信じていないの。」
「だけど、俺達は違うんだ。」
「俺達って、どうゆう括りですか?」
樹の言葉に質問すると、彼は にっこり笑った。
「桜は、ある神社の巫女なんだ。巫女は女しか なれないからね。俺は只の坊主。」
「ちょっと言い方 違わない?まぁ、キュティちゃんが理解 出来るなら、何だって良いけど。」
「……全然 解らないんですけど。」
申し訳無さそうに呟いたキュティを、桜は優しい瞳で見返した。
「神社って言うのはね、人間が敬っている神様を奉っている場所。巫女は、其処で人間の為に神に祈る女性の事。坊主って言うのは……其処で働く只の男性ね。」
「ちょいちょい、俺達の扱い酷くね?」
樹が苦笑いする。
「……何となく、解ります。」
「何となくで良いわ。ある職の人達だけが、天界と地界の存在を認知してるって、解って欲しいだけだから。」