天使の歌

「キュティちゃん。落ち着いて。」

桜がキュティの両肩に、手を置く。

「そうよ。彼は、恐怖で、悪魔の力を暴走させてしまうの。そうなってしまったら、全員が死んでしまう。」

桜は、哀しそうに目を伏せた。

「もし滅ぶのが、天界や地界だけだったら、私達 人間は、只 傍観していたかも知れない。人間は、そうゆう生き物だから。」

でもね、と桜はキュティの瞳を凝視する。

「自分達が滅ぶと知って、私達は それを止めに来たの。だから、一緒にセティ君が囚われている場所を、捜しましょう?」

桜の言葉に、キュティは頷いた。

もしかしたら桜達は、スティの差し金で、キュティを連れに来たのかも知れない。

でも もう そんな事は、どうだって良い。

(セティ。)

セティの所へ行けるのなら、どうなったって良い。

待っててね。

必ず行くから。

これが、1度、貴方を拒否してしまった私が出来る、唯一の償いだから。

――セティに、会いたい。

その時、桜が ふふっと楽しそうに笑った。

「キュティちゃん、セティ君の事が、好きなのね。」

「へっ?」

「だって、そんなに色っぽい目ェして。解りやすいわ。」

「そっ、そんな事 在る訳 無いじゃないですか!!セティは私を助けてくれたから、恩返し……。」

「ふふっ。そうゆう事に しておいてあげる。」

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