天使の歌

桜の言葉に、キュティは頷いた。

「で、巫女は、予知が出来るの。」

「予知……未来が見えるって言う奴ですか?」

「そうよ、良く知ってるわね。」

桜の言葉に、キュティは曖昧に笑う。

まだ幼かった頃、周りに忌み子と罵られていると認識した頃。

予知と言う物が在る事を知って、その能力で未来を見て、これから起こる哀しい出来事を、知っておけたら良いな、なんて思っていた……なんて、言えなかった。

「此処からが本題なの。」

落ち着いて聞いてね、と桜は念を押す。

「私は、予知で、天界の未来を見たわ。」

桜の言葉に、キュティは ごくりと喉を鳴らす。

「3日後に、セティ君は、首都の処刑場で その姿を民に晒されて……暴走した彼の力は、3界を滅ぼすわ。」

キュティは、驚愕に目を見開いた。

「……セティ、皆の前で公開されちゃうんですか!?」

「おいおい、驚くとこ其処かよ!!」

樹の突っ込みなんて、キュティの耳には入らない。

「だって、あんなに一生懸命、フードとか、マントとか、ヘッドホンで隠して来たのに……あんなに、自分の存在を恥じて……っ。」

もし自分が、セティの立場だったら どうだろうか。

忌み子と罵られ、侮蔑されて来たのに、沢山の天使の前に引き出されたら。

きっと、とても とても――怖い。

「私には、耐えられない……っ!!」

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