天使の歌

キュティに神霊(みたま)を送って、数十分も経たない内に。

スティが、ディリーとリエティーを連れて、セティの元へ やって来た。

この2日間、セティを嬲りに来るのは、スティかリエティーの、片方のみだった。

3人が1度に来るのは初めての事で。

セティは、恐怖を感じた。

(……まさか……。)

キュティが送って来た神霊(みたま)には、“3日目に都の処刑場に連れて行かれる”と言う言葉が、託されていた。

(……殺される、のか……?)

キュティに神霊(みたま)を送った瞬間から、死ぬ覚悟は出来ている――つもりだった。

なのに、こんなにも怖い。

鍵を開け、入って来る3人から出来るだけ離れようと座ったまま後退り。

「!」

壁に、背が当たった。

そんなセティを見て、スティとリエティーは、残酷な笑みを浮かべた。

「……怖いのか。」

セティの前に立ち、嘲笑うスティを、彼は必死に睨んだ。

(……違う。)

怖くなんか、ない。

こいつ等を、調子付かせては駄目だ。

そんなセティを見て、スティは ふっと笑うと、リエティーを見た。

「やれ。」

その言葉に、リエティーは嬉しそうに笑って。

「がっ!!」

セティの鳩尾に、強烈な蹴りを喰らわせた。

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