天使の歌
忌み子

都から少し離れた森の中で、キュティ達4人は身を休めていた。

それぞれ木に寄り掛かり、これから どうするか、話し合いを始めた。

キュティに したのと同じような説明を桜はセティにして、その上で提案する。

「私はね、キュティちゃんとセティ君。2人共、人界へ連れて行きたいの。」

「……キュティを連れて行きたいのは解ります。でも、何故 俺を?」

眉を顰めたセティを、桜は見る。

「さっきも言ったけれど、これ以上 辛い想いを すれば、貴方は再び暴走するわ。そうすれば、再び滅びの危機が訪れる。それは、避けなくては駄目なの。」

「……人界には、迫害されない保証が在ると?」

「セティ、喧嘩腰に なっちゃ、駄目だよ。」

話に割り込んで来たキュティを、セティは ちらっと見るのみだ。

「別に喧嘩腰になんか、なってない。」

「なってるよ、もう。」

キュティは軽く頬を膨らませた。

「良いのよ、キュティちゃん。当然の反応だわ。」

桜は穏やかに微笑んだ。

「確かに、セティ君の言う通り、迫害されない保証は無いわ。」

(……やっぱり……。)

キュティの顔が曇る。

忌み子と呼ばれるキュティ達 混血(ハーフ)の居場所は、何処にも無いのだ。

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