天使の歌
知らず知らずの内に、キュティは叫んでいた。
「貴方は どうして、セティを苦しめるの!?」
「忌み子だからに決まってんだろ!!」
恐ろしい顔で、スティはキュティを睨んだ。
それでも彼女は、臆する事 無く、言葉を紡いだ。
「私が言いたいのは、そうゆう事じゃない!」
「あぁっ!?」
「どうして わざわざ痛め付けたり、聴衆の前に引き出したり するの!?穢れた存在だと思うなら、早く殺してしまえば良いのに、どうしてセティを傷付けるの!?」
キュティの言葉を聞いた瞬間。
スティの攻撃が、止んだ。
苦しそうに顔を歪めて、スティは呟いた。
「……こいつが、俺の大切なもん、奪ってくからだろ……。」
「…………ぇ。」
意味が解らず、セティは茫然と した。
「お前は!!……お前が生まれた所為で、お袋は俺を捨て、逃亡した!!俺が周りに何て言われて生きて来たか、お前 知ってんのかよ!?」
スティの瞳から、涙が一筋、零れ落ちた。
「母から愛されなかった哀れな子。
悪魔よりも価値の無い存在。
そう言われ続けて、どれだけ孤独だったか、お前 知ってんのかよ!?」
スティは、ありったけの声で叫ぶ。
「お前は俺から、優しい母親も、暖かい家庭も、世間体も……全部!!全部!!奪ったんだっ!!」