天使の歌
「そう言えばさぁ、お上は まだ やってるみたいだよ、“悪魔狩り”。」
昼食を食べ終わった時、キュティの向かいに座っていたネスティが、そう切り出した。
キュティは驚いたようにネスティを凝視し……。
「……って、何?」
きょとんと、首を傾げた。
「キュティ、ちょっとは新聞 読みなよ。」
ネスティは呆れたように笑いつつも、改めて口を開く。
「天使と悪魔の混血(ハーフ)の話、聞いた事 在るだろ?」
その言葉を聞いたキュティの顔が、一瞬 強張った。
それには気付かず、ネスティは話を進める。
「その子は天界に居るんだって。……聖なる世界に穢れた者が居る。お上は それを排除する為に、悪魔狩りを始めたんだ。まぁ、実際に悪魔を倒す訳じゃないから、ちょっと語弊が在ると思うけど。」
(知らない訳 無いじゃん。)
キュティは目の前の机の一点に、視線を落とす。
キュティが“彼”の話を聞いたのは2年前。
初めて聞いた時から、ずっと気になっていた。
(だって、その子は――。)
私と同じ。
存在すら否定された、哀れな人。