天使の歌
「何に対して怒ってんの?」
「っ!?」
その言葉に、キュティは驚いてしまう。
「な、ななな……。」
「あはは、あんた面白い。」
少女は声を上げて笑う。
「……別に……ちょっと、連れが嘘ついてる気がして。」
「ふぅん?」
少女は、大人の余裕、と言った感じの笑みを浮かべ、キュティの顔を覗き込んだ。
「お姉さんが、相談に乗ってあげよっか?」
その姿が、余りにも色っぽくて。
キュティの顔は、真っ赤に なった。
「けっ、結構です!」
「あはは、やっぱ面白い。」
少女は にっこり笑うと、キュティを しみじみ見て、口を開いた。
「旅の人?」
「あ、はい、そうです。」
「此処で会ったのも何かの縁。あたしはディリー。あんたは?」
そう訊かれて、一瞬 偽名を使おうか悩み。
「キュティです。」
素直に、本名を名乗った。