天使の歌

「何に対して怒ってんの?」

「っ!?」

その言葉に、キュティは驚いてしまう。

「な、ななな……。」

「あはは、あんた面白い。」

少女は声を上げて笑う。

「……別に……ちょっと、連れが嘘ついてる気がして。」

「ふぅん?」

少女は、大人の余裕、と言った感じの笑みを浮かべ、キュティの顔を覗き込んだ。

「お姉さんが、相談に乗ってあげよっか?」

その姿が、余りにも色っぽくて。

キュティの顔は、真っ赤に なった。

「けっ、結構です!」

「あはは、やっぱ面白い。」

少女は にっこり笑うと、キュティを しみじみ見て、口を開いた。

「旅の人?」

「あ、はい、そうです。」

「此処で会ったのも何かの縁。あたしはディリー。あんたは?」

そう訊かれて、一瞬 偽名を使おうか悩み。

「キュティです。」

素直に、本名を名乗った。

< 78 / 237 >

この作品をシェア

pagetop