天使の歌

「もう……何なのよ。」

キュティの ぼやきは、商店街の喧騒に掻き消される。

何だかセティが嘘を ついているような気がして、彼女は苛々していた。

「独りに なりたいなら、はっきり そう言ってくれれば良いのに!」

何故 自分が そんなに怒っているのか解らないまま、肉屋の天井に吊り下げられている干し肉に手を伸ばした時。

「あ。」

「おっと。」

手と手が触れて、キュティは慌てて手を引っ込めた。

「御免なさい!」

慌てて謝り、相手の顔を見ると。

其処に居たのは、20歳くらいの少女だった。

燃えるような赤髪は頭の高い位置でポニーテールにされ、小麦色に焼けた顔に、琥珀色の瞳が映えている。

袖無しの服で へそを出し、短パンを履く、と言う、何とも露出度の高い格好を している。

その腰には、40センチくらいの長さの剣が吊り下げられていた。

「こっちこそ御免よ。あたしは別ので良いから、どうぞ。」

少女は明るく笑うと、別の干し肉に手を伸ばした。

「すみません、有り難うございます。」

お礼を言って、キュティが干し肉を手に取ると。

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