ナピュレの恋【完】
思い出の旅行をしに来たけど思い出の写真なんかいらない。
そんなの手元にあったら忘れたいことも忘れられなくなる。
「うーん、そっか。じゃぁ、あっち行こうか」
「…ゆ、うや…」
歩き出した裕也に、なつこは立ち止った。
だって“ギュッ”と握り直してきた手が恋人繋ぎだったから…。
「あれ?嫌だった?」
そう笑顔で覗き込んでくる裕也に、やっぱりドキリとした。
「いや、じゃない…けど」
本当ならスゴク嬉しいはず。
だけど、今のあたしには…ツライ。