ナピュレの恋【完】

その時、俺の部屋の前にいた…人。


彼女はオレを見つけるなり走ってきた。


「裕也!!」


そして、ガバッと俺に抱き付いてきた人物。


「沙英子…」


「裕也!!やっぱりあたし裕也が忘れられないの!!」


そう言って顔を上げ、俺を見つめる沙英子。


自然と上目になる沙英子に、俺はドキリともしなかった。


あの時、沙英子の真実に確かに動揺した。


“ごめんな、気付けなくて…”そう言って抱きしめてやりたいとも思った。


けど、隣にはなつこがいて下を向いて下唇を噛みしめているのを見た。
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