ナピュレの恋【完】

俺一人だったら、なつこを見つけだすことなんかできなかった。


きっと俺は一人部屋で塞(フサ)ぎ込んでいただろうな。


ずっと、なつこを思って…。


「そっか…」


なつこは力なく笑ったような、気がした。


「迷惑…だったか、な?」


そう、俺が聞けば。


「そんなわけ、ない…。すっごく、嬉しい…」


そう言われ、俺はやっとなつこの気持ちが分かり。


そっとなつこから体を離し、クルリと自分の方に向け目を合わせた。


「会いたかった、なつこ…」


俺はまた“ギュッ”と抱きしめた。
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