紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
『あ、あああああっ!!』
体中の血が、粘度を増していく。
悪魔が、自分の体に入り込み、細胞のひとつひとつを黒く汚染していく気がした。
熱い。
痛い。
嫌や、お父ちゃん、もう嫌や。
もうやめてんか。
祈るオーランドの耳は、次第に父の呪文が理解できるようになっていた。
やがて、嵐の中に置き去りにされたような頭に聞こえたのは。
父の、叫び声だった。
『──俺の体の一部を捧げる!!
その代わり、息子に力を与えよ!!』
──なんやって?
お父ちゃん、今なんて言うた?
悪魔に捧げるんは、僕の腕とか血とかじゃないんかい。
お父ちゃん、あかん……