紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
地方の方言が混じった言葉でそう言うと、男はスマホをしまう。
「ほな……足止めさせてもらうわ!」
男の青い瞳が輝き、右手は金色の光を纏う。
まるで妖精の粉のように細かい、きらきらと光る粒子が、その指先から放出されているのがコートニーにはわかった。
(キレイ……)
コートニーがぼんやりその光に見入っていると、男は第二波を、まだ立っている敵に向けて放つ。
その右腕が突き出されると、大きな黄金のオーラの手が床を削りながら敵に向かい、その体を跳ね飛ばした。
「お嬢ちゃん、今のうちや!」
「えっ」
「起き上がらんうちに逃げるで!」
もう光を放出していない右腕で、男はコートニーの手首をつかむ。
コートニーは男に導かれるまま、倒れた敵の体を踏みつけながら寺院をあとにした。