紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


       *        

       
コートニーの目の前で、オーランドの腕が紅蓮に染まり、形を変える。


スカイブルーの瞳はマゼンタに変わり、口元からするどい牙がのぞいた。


ぎし、ぎし、と彼の体がきしむ音がする。そして。


黄金の風が、二人の間に吹き荒れた。


「がああああああっ!」


恐ろしい叫び声がした。


コートニーは、目の前にいた彼を見上げる。


「オーランド……!」


彼の姿は、いつもの優しげな金髪碧眼の美青年からは、遠くかけ離れてしまっていた。


ひとまわり大きくなった体中に、右腕の紅蓮が浸食しているように、奇妙な模様が現れる。


耳まで鋭くとがり、陽光をはらんで輝いていた金髪は彼の腰まで伸び、その顔のほとんどを隠してしまっている。


その隙間から、マゼンタに光る鋭い瞳が、ぎらりと光った。


「……わたしがわかる?オーランド……」


震える手で、彼の金髪をかきわけ、頬をなでる。


すると、悪魔はにやりと笑い、爪がのびた赤い手で、彼女の手を導いた。


その手のひらに、触れるだけのキスをする。


「わかるのね……」


コートニーはホッとした。


悪魔は人間にキスなんてしない。


姿は変わってしまっても、この中にオーランドは確かにいる。


< 234 / 276 >

この作品をシェア

pagetop