紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
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コートニーの目の前で、オーランドの腕が紅蓮に染まり、形を変える。
スカイブルーの瞳はマゼンタに変わり、口元からするどい牙がのぞいた。
ぎし、ぎし、と彼の体がきしむ音がする。そして。
黄金の風が、二人の間に吹き荒れた。
「がああああああっ!」
恐ろしい叫び声がした。
コートニーは、目の前にいた彼を見上げる。
「オーランド……!」
彼の姿は、いつもの優しげな金髪碧眼の美青年からは、遠くかけ離れてしまっていた。
ひとまわり大きくなった体中に、右腕の紅蓮が浸食しているように、奇妙な模様が現れる。
耳まで鋭くとがり、陽光をはらんで輝いていた金髪は彼の腰まで伸び、その顔のほとんどを隠してしまっている。
その隙間から、マゼンタに光る鋭い瞳が、ぎらりと光った。
「……わたしがわかる?オーランド……」
震える手で、彼の金髪をかきわけ、頬をなでる。
すると、悪魔はにやりと笑い、爪がのびた赤い手で、彼女の手を導いた。
その手のひらに、触れるだけのキスをする。
「わかるのね……」
コートニーはホッとした。
悪魔は人間にキスなんてしない。
姿は変わってしまっても、この中にオーランドは確かにいる。