紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
がっしりとした体つきに、顔の全てのパーツが大きいクライドも、アリスには敵わないようだ。
「……で?」
アーロンはクライドを無視し、オーランドをにらみつける。
「ゴスロリちゃんでした」
「……で?」
「胸は、Cカップくらい……」
「んなこた、聞いとらんねん!
ええかげんにせんと、ケツの穴から手ぇ突っ込んで、頭蓋骨カタカタ言わせたるぞ、ボケェ!!」
キレたアーロンは、方言丸出しでテーブルをバンバン叩いた。
他のメンバーは、「あーあ」という顔をしている。
「しゃあないやん、僕にもようわからんのやって!
正体不明やから、今はある場所に保護してて、あとでオッサンのところに連れていくつもりやってん」
「ランスロット様をオッサン言うな!
正体不明は、お前一人で十分や!」
「…………」
アーロンが怒りのままに発した台詞。
その一言で、その場が凍りついた。
「……悪かったな、正体不明で」
「…………」
呆れたように言うオーランド。
その声の響きに、兄に対する諦めと軽蔑を感じた周囲は、黙って見守る。
「他に用がないんやったら、帰らせてもらうわ」
気まずくなってしまったオーランドは、くるりと背中を向けようとして……。
あるところで、視線が止まった。