紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
オーランドはしかたなくうなずく。
「……そのわりには、精霊が騒ぐ。
その者を、悪しきものだと言っている」
フェイが眉をひそめ、コートニーをにらむ。
だよな。やっぱり一般人じゃないよな。
オーランドは確信する。
死者に追いかけられ、常人には見えないはずの精霊が見えた……。
そういえば、今朝精霊を見た時の慌てようは、不自然なものがあった。
今と同じ。
まるで、おびえているような……。
「同意だ」
アーロンがフェイの言葉にうなずき、オーランドの背中に声をかける。
「ただの一般人ではないだろう。お前は、何者だ」
コートニーは答えない。
ということは、都合が悪いことがあるということ。
「……答える気はないか……。
よし、今から拷問して、全て吐かせてやる」
「ええっ!?」
「それをよこせ、オーランド!」
アーロンがコートニーの腕を取ろうと手を伸ばす。
(…………!)
オーランドはとっさに、その手を自分の手で払いのけた。
パン、と乾いた音がした。
自分でもなんでそんなことをしてしまったのか、よくわからない。
少し戸惑いながら、オーランドは反論した。
「ちょお待てや。いきなりそれはないやろ。
兄ちゃんはそんなやから、ずっと彼女がおらんねん」
「なんだと……?」
オーランドの態度に、アーロンは顔を真っ赤にして怒りを表す。