紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


(あかん……!)


止めようと思っても、オーランドに止める術はない。


なぜなら、オーランドは魔法が使えないから。


同じ白魔法師、あるいは黒魔法師なら、この魔法を無効化することができるのかもしれない。


けれどオーランドにできるのは、兄自身を攻撃することだけ。


それはやっぱりできなくて、オーランドがあわあわしているうちに、魔方陣は室内から溢れるほどの光を放ち……


「きゃんっ!」


窓の外にいたコートニーを、部屋の中央のテーブルの上に招き寄せた。


テーブルの上でしりもちをついたコートニーは、あたた、と腰をさする。


あ、パンツ見えそう。


オーランドは一瞬、そんなことを思ってしまった。


「……なんだ、お前は……?」


アーロンが全身から怒りのオーラを撒き散らす。


「オーランドぉ!」


突然のことで混乱したのであろうコートニーは、テーブルから飛び降り、オーランドの背中に隠れた。


こんなときばっかり、甘えるなよ。


「……オーランド……説明しろ……」


追求の手を緩めないのは、もちろんアーロン。


「アホ!やから隠れとけって言ったやないか!」


「だって、暇だったんだもん!

花のせいで虫がたくさんいるし!」


ぎゃあぎゃあと言い争いを始めた二人の間に入ったのは、アリスだった。


「もしかして……例の一般人?」


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