紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


「アリス、ここは俺たちが引き受ける。
組織と騎士団に状況説明に行ってくれ!」


クライドが叫ぶと、アリスは悔しそうな顔で塔の中へと戻っていった。


そのあとを、死者たちが追おうとする。


「お前らの相手は、僕らやで!」


オーランドが言うと、死者がいっせいにこちらを振り返った。


「いくで、クライド!」


黄金のオーラをまとい、オーランドは死者の群れに飛び込む。


先ほどよりも強い力で、死者を殴り飛ばす。
その倒れた使者に、クライドが火炎で追い討ちをかける。


『ぐああああああ……』


死者は低い悲鳴をあげ、炎の中で灰になっていった。


「よっ!」


オーランドはたかってきた死者の前でかがみ、足払いをかける。


そしてばたばたと倒れた死者たちに向かって、右手を開き、ふりおろした。


彼の手から放たれた黄金のオーラは、死者の上にのしかかる。


「クライド!」


「おう!」


クライドは用意していた魔方陣から大量の炎を呼び出し、使者に浴びせかけた。

こうして、やっとオーランドたちの優位に立ったかと思われたが……。


(あかん、思ったより疲れる)


展望通路ごとふっ飛ばしても良いのなら、使者をいっぺんに川に落とすこともできる。


だけど太陽は相変わらず真上にあり、下には人や車。


神経を使うという仕事が嫌いな彼らには、大変なストレスがかかった。


< 75 / 276 >

この作品をシェア

pagetop