紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「アリス、ここは俺たちが引き受ける。
組織と騎士団に状況説明に行ってくれ!」
クライドが叫ぶと、アリスは悔しそうな顔で塔の中へと戻っていった。
そのあとを、死者たちが追おうとする。
「お前らの相手は、僕らやで!」
オーランドが言うと、死者がいっせいにこちらを振り返った。
「いくで、クライド!」
黄金のオーラをまとい、オーランドは死者の群れに飛び込む。
先ほどよりも強い力で、死者を殴り飛ばす。
その倒れた使者に、クライドが火炎で追い討ちをかける。
『ぐああああああ……』
死者は低い悲鳴をあげ、炎の中で灰になっていった。
「よっ!」
オーランドはたかってきた死者の前でかがみ、足払いをかける。
そしてばたばたと倒れた死者たちに向かって、右手を開き、ふりおろした。
彼の手から放たれた黄金のオーラは、死者の上にのしかかる。
「クライド!」
「おう!」
クライドは用意していた魔方陣から大量の炎を呼び出し、使者に浴びせかけた。
こうして、やっとオーランドたちの優位に立ったかと思われたが……。
(あかん、思ったより疲れる)
展望通路ごとふっ飛ばしても良いのなら、使者をいっぺんに川に落とすこともできる。
だけど太陽は相変わらず真上にあり、下には人や車。
神経を使うという仕事が嫌いな彼らには、大変なストレスがかかった。