紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「ちっ!」
ガードした敵の腕を左手でつかみ、金色に光る右手でその腹を殴りつける。
死者は吹っ飛び、通路の手すりに背中を打ちつけ、崩れ落ちた。
しかし……。
「……ダメなんだ、今までと同じ攻撃じゃ……」
火の魔法を操り、死者に対して敗北を知らなかったクライドが、悔しげにうめく。
彼らの目の前では、オーランドが倒したはずの死者が、次々に起き上がっていた。
「なんや、こいつら……!?」
オーランドは自分の目を疑う。
この死者たちは、今までの死者とも、日本の能力者の紙人形とも違う……。
「オーランド、お前が倒して弱ったところを、俺が燃やす。
それならいけるはずだ」
「ほんなら、最初にそう言えよ~」
「言おうと思ったすきに、お前が勝手に行っちまったんだろうがっ!」
クライドから応援要請が来た時点で、何かが起こったのだとは思っていた。
だけどまさか、こんな展開が待っていようとは……。
「ちょっと、何これ!
倒しても倒しても起き上がるんだけど!」
わらわらと彼らを囲む死者の向こうで、アリスの声がした。
アリスは水の精霊と共に青い魔方陣を死者の足元に呼び出す。
「倒れろってば!」
彼女が叫ぶと、魔方陣からいくつもの鋭い水の槍が現れ、死者の体を突き刺す。
しかし、すでに心臓が止まっている彼らから赤い血液が流れることもなく、倒れた体はしばらくすると立ち上がった。