桜廻る
「総司は、剣の腕も立つんだ。俺より小さいくせにな。もしも刀を持たせたらどうなるか……」
「あはは。そうなんですか」
そんな他愛のない話をしているうちに、だんだん家が近付いてくる。
しかし、雅はいつもと違う点に気付いた。
「あれ……」
「……?どうした?」
土方は、不思議そうに、雅の視線を辿る。
そこにいるのは、中年の一人の男。
その男は、顔を上げ、雅を見ると……。
パァッと、明るい笑顔になった。
「雅ーっ!」
雅は驚いて、目を見開く。
「お……。お父さん!」
「久し振りだな!元気にしてたか?」