桜廻る
「はい。今の時代にはいません。俺は突然、自分がいた江戸時代から、この平成時代という未来にやって来たのです」
父は、ぽかんと口を開く。
「それで、たまたま雅さんに出会って……ここで居候させてもらっている身であります」
土方がその言葉を発した瞬間、父の顔はみるみるうちに険しくなっていく。
一気に、緊張感が漂った。
その瞬間……。
「──そんな馬鹿な冗談、誰が信じるか!過去から来たというのはただの口実だろう!それでここに居候させてもらうとは……雅に何かしたらただじゃ済まないぞ⁉」
父は、声を張り上げた。
手まで振り上げようとするから、雅はそれを必死で止める。
「お父さん、やめて!土方さんは全然悪い人じゃないから!」
「雅、今も騙されているかもしれないんだぞ⁉タイムスリップ……なんて、そんなことあるわけないじゃないか!土方君、君もなぜこんな冗談を……」
声を荒げ、父は勢いよく立ち上がる。
それから息を整え……少し落ち着かせてくれ、と言い、食卓を出て行った。