桜廻る
「はい。少し話があって、あなたをここまで連れてきました」
「話……?私に?」
それにまた、驚く。
土方がタイムスリップしたから、まさか自分に、話の矛先が向けられるとは思わなかったからだ。
「それでは、桜川雅さん。まず始めに……。私の名前は、“時猫”(ときねこ)と言います。私は、時と、命と、そして記憶……他の全ても、私が操っています」
「そう、なの?」
「はい。土方歳三さんも、私がタイムスリップさせました」
(やっぱり、この猫……時猫が?)
「どうしてタイムスリップさせたか……。それは、伏せておきますが。土方さんが元の時代に戻るには、ある一つの条件が必要でした」
「条件……?」
雅がそう呟くと、時猫は頷いた。