桜廻る



シャワー。洗面器。温度調節。


全てにおいて、
土方は分からないみたいだった。





「あの、土方さん。
一つ聞いてもいいですか?」


「ん?」





シャワーから水が出た事に驚きながらも、土方は短く返事をする。





「今って、何年でしたっけ……?」





恐る恐る聞いた質問。


まさか、そんな事はないだろうが……





「嘉永(かえい)6年だろう」


「……。……へ?」


「でもこれは日本の年だ。本当にここが異国であれば、数え方も違うんじゃねぇか?」





そこで言葉を止める土方。


ジャーッと、シャワーの音だけが響く。






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