桜廻る
雅の涙を見て、少し眉を寄せる。
そして……
「昨日、あんなに言ったじゃないですか!新選組が会津から出たと聞きました。どうしてついて行かなかったんですか⁉諦めないでと、あんなに言ったのに!」
「……」
「今からでも間に合います!追い掛けて……」
「いいんです、もう」
雅は涙を拭きながら、そう言った。
「もう……。無理です」
パァンッ!と乾いた音が響いた。
痛みに顔を上げると……八重が、怒った表情で雅を見つめている。