桜廻る




雅の涙を見て、少し眉を寄せる。


そして……





「昨日、あんなに言ったじゃないですか!新選組が会津から出たと聞きました。どうしてついて行かなかったんですか⁉諦めないでと、あんなに言ったのに!」


「……」


「今からでも間に合います!追い掛けて……」


「いいんです、もう」





雅は涙を拭きながら、そう言った。





「もう……。無理です」





パァンッ!と乾いた音が響いた。


痛みに顔を上げると……八重が、怒った表情で雅を見つめている。




< 288 / 419 >

この作品をシェア

pagetop