桜廻る
妙な空気が、二人を包み込む。
ふう……と雅は深呼吸した。
「もう遅いし、寝ましょうか」
土方は、よく分からないままに頷いた。
(布団、あって良かった)
押し入れから出して、床に敷いていく。
敷き終わり、土方の方を向いて、どうぞと声をかけた。
無言のまま、土方は近付いてくる。
「おやすみなさい」
「あ、あぁ……」
雅もその後自分の部屋に行き、ベッドの中に潜り込んだ。
まだ頭の中がぐちゃぐちゃである、二人の規則正しい寝息が聞こえてきたのは、それから数分後の事だった。