桜廻る



土方は、驚いたように雅を見る。





「お前の父上か?」





雅はこくりと頷き、父の要件を聞こうと、耳を傾けた。





『突然すまない。これからまたすぐ仕事があって、多分電話するのも今くらいしかないから、単刀直入に言わせてもらう。あのな、実はお父さん、急な出張で東京に行く事になって……』


「そうなの?……仕事大変そうだね」


『あぁ……。だから、その時、お前の所にも寄るから』


「うん、分かった。……って、え?」





まずい、というように、雅は土方の方を見る。


土方は、雅の危機感など気にせず、味噌汁をズズ…と吸っていた。





『まぁ、そっちでの様子も気になるからな』


「……いつぐらいに、来るの?」


『んー……。お前、そろそろ体育祭だろ?その後の夏祭りの日に、行くと思う』


「そ、そっか」



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